星月夜

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年12月12日発売)
3.21
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感想 : 50
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≪ストーリー≫

東京湾で2つの遺体がロープで繋がれた状態で発見された。
一人目の被害者は、出雲に住む佐田木泰治という80歳過ぎの老人。
二人目は岩手から上京していた佐藤可菜子という少女だった。
警察も動き出したが、一向に2人の共通点が分からない。
そんな時、可菜子がミッチーという名で働いていた風俗店の常連で鈴木淳一という男が、
佐田木に会いに出雲まで行っていたことが判明する。
鈴木をホシとして捜査を始めるが鈴木には揺るぎないアリバイがあった。
鈴木は鍛冶職人だった佐田木に、銅鐸を作ってくれるように頼んだだけだと言った。
佐田木の孫娘・由紀子曰く、長らく使っていなかった鍛冶小屋に使われている形跡があると言う。
佐田木は銅鐸を作ったはずだ。ではそれは、どこに行ったのか。
厳重警戒中の鈴木の元に、石丸という元刑事が現れる。
石丸は過去に起こったある事件のホシに、この事件が関係があると言った。
それは今から45年前――
山口県にある高等専門学校に通う、男が2人と女が1人いた。
男は乾康次郎と宗建侑、女は美智子と言った。ある夏、九州に上陸した台風の影響で土砂崩れが起こり、康次郎の肉親が死んだ。
そのことで康次郎は親戚の西峰隆三という男に引き取られ、建侑と美智子と離れ離れになった。
康次郎は美智子を愛していた。美智子もそれに応えていた。
必ずまた迎えに来ると美智子に言い、康次郎は2人と別れた。
西峰はひどい男で、康次郎や他の里子に手を出した。
康次郎はある夜、火事が起きたのに乗じて、西峰を殺し金を奪って家を逃げ出した。
康次郎が山口に戻ると、建侑と美智子が結婚していた。
康次郎は建侑も同じように殺し、美智子と一緒になろうとした。
それを知った美智子は、崖から身を投げ自殺を図った。
康次郎は美智子が死んだものと思っていたが、実は美智子は生きていた。
美智子は父親である佐田木泰治に引き取られ、建侑との子・由紀子を生んで自殺した。
佐田木も刑事・石丸も、康次郎がこの2件のホシであることに気づきその行方を追っていた。
康次郎は名前を筒見真也と変え、筒見商会という名で財を気づいていた。
考古学の雑誌に載った筒見を見て、佐田木が気づいた。この男が乾康次郎だと。
佐田木は筒見宛てに、「乾康次郎様」と書いて銅鐸を送り、連絡をよこした筒見に会いに行った。
真実を知るためだった。
筒見の別荘で話している時、どこからか「助けて!」という悲鳴が聞こえた。
悲鳴の主は、佐藤可菜子だった。
可菜子と風俗店で知り合った筒見は、美智子に少し似たところがある可菜子を別荘に監禁していたのだ。
筒見は、悲鳴に気づいた佐田木と可菜子を殺してボートから海に投げ捨てた。
筒見が主催する考古学賞を今年受賞したのが、江梨子という女性。由紀子の親友だった。
江梨子に見せられた写真で、美智子に瓜二つの由紀子を見つけた筒見は、今度は美智子を自分の物にしようと企てた。
しかし警察は、その前に銅鐸の行方と、可菜子が彼氏と取った写真から筒見にたどり着いたのだった。

≪感想≫

警察が主体の本格的な推理小説かと思わせて、実はそうなってない。
途中に時折挟まる、”乾康次郎の回想”(最初は何のことか分からない)がないとストーリーの全容が分からないし、警察内も特に主役となり得る人がいない。(鑑識や刑事など)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス・ミステリー
感想投稿日 : 2012年4月18日
読了日 : 2012年1月12日
本棚登録日 : 2012年4月18日

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