なまなりさん (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2022年12月22日発売)
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感想 : 19
5

「ドロッドロの因縁もの怪談、善良な女性をいじめた双子姉妹が家族もろとも酷い目にあいました」だけではない変な不気味さが好きで、2回読んだし多分また読むと思う。

中山さんの怪談狩りは何冊か読んでいて、「なまなりさん」もタイトルをどこかで見て印象に残っていたのが、今回格好良い表紙で出たので買った。

嫌がらせの描写はそんなに詳しくなく、自分には割と時代がかった・浮世離れした展開に見えたので、さらっと読めて助かった。(第三者の語りをさらに著者が一部変更している構成なので、本当にものすごく酷いことをした・されたのかもしれない怖さもある)

気持ち悪いのがそのあとで、
姉妹のちょっと浮世離れしたやりようや「私たちは長く生きられない」と含みのあることを言っていたのに、憑き物が落ちたように普通の女の子として帰っていくところ、
心身健康で優しい女性が、尋常でない呪い方をして、自分の妹も巻き込んでいるところ、
姉妹の両親が「自分たちの血筋には因縁がある」と言っていたり、何より姉妹が生まれた時に起こった呪いじみた件のところ、

自分には、
あの姉妹はただ呪われて死んでいくためだけに、東京に出てきて女性をいじめて、女性はただあの家系を呪うためだけに、姉妹と関わって自分であんなことになって…という、
本人たちの恨みとか悪意より、ただ因縁の結果そうなるように決められていて、それであれだけのことが起きた、という話に見えた。

退魔師の人が、これ以上関係者に酷い目にあってほしくないとお祓いしつつ「こんなことしても駄目だ」のところは、そうだろうな…とここだけとても納得したのでちょっと面白かった。

因果応報というにはなんとなく気持ち悪い、不気味な印象のまま終わって、思ったよりずっと怖く面白く読んだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月9日
読了日 : 2023年1月9日
本棚登録日 : 2023年1月9日

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