ヘヴン

著者 :
  • 講談社 (2009年9月2日発売)
3.46
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本棚登録 : 4009
感想 : 782
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2022.5.31読了
いじめを題材にしている作品は、読むのに体力がいる。自分は暴力描写がとても苦手で、読んでいるだけで疲れてしまう。
それでも本作を読むのをやめられなかったのは、主人公の僕とコジマの関係がどういう結末を辿るのかを知りたかったからだ。

物語は、コジマが僕の机の中に手紙を貼り付けてきたこてから始まる。
僕もコジマもクラスでいじめられている。コジマは僕に自分達は仲間だと手紙に綴り、二人はやがて人目を忍んで会い、語り合うようになる。心を通わせ合う二人だったが、そんな中僕にある事件が起きる。その事件によって、二人の関係が変わってしまうのだった。

作中、いじめる側のグループにいる百瀬と僕が偶然会い話す場面があるのだが、百瀬の言葉が興味深い。
僕を放っておいてくれと言う主人公に、まわりがそれに対してどう応えるかは100%まわりの勝手だという百瀬。
この言葉に、世の中は自分の思った通りには回っていかないという現実を突きつけられる。
自分はいじめを決して肯定しない。しかし、世間の理不尽さがこの一言に集約されており、やり切れない気持ちにならずにいられなかった。

著者の作品は初めて読んだが、かなり重かったので次の作品は覚悟して読みたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月31日
読了日 : 2022年5月31日
本棚登録日 : 2022年5月31日

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