あの時、バスは止まっていた

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  • SBクリエイティブ (2009年11月17日発売)
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今年5月10日に『ほいたら待ちゆうき龍馬』という本を媒介に、まったく無実の罪で、高知県の警察と検察に冤罪をでっち上げられて刑務所に入れられた片岡晴彦さんのことを書きましたが、悔しいかな(もちろん物理的には、ご本人もご家族も、それはそれで嬉しいことなのですが)、すでに1年がすぎあと4カ月で刑期が終わろうとしています。

この本で、勝手に運転を誤ってバスにぶつかってきたのは白バイなのに、バスに乗っていた生徒が全員そう証言しているのに、だからバスが急ブレーキなど踏むはずがないのに、ブレーキ痕までねつ造してバスの運転手の片岡晴彦さんが悪いと罪に問う茶番劇、これは警察みずからの犯罪以外のなにものでもないことを、改めて著者の山下洋平は強く弾劾しています。

今ふっと思い出しましたが、5年前に志布志事件というのが鹿児島県でありましたね。県議会議員選挙で負けた自民党議員が、腹いせで警察と結託して、買収されましたという自白を強要しようと、ある集落の人たちを長時間にわたって取り調べ、認めなければ家族全員を逮捕するぞ、村八分にするぞなどという恫喝をし、家族が書いたという、お前をそんな子に育てた覚えはない、とかいう紙をむりやり踏ませる時代錯誤な踏み絵まで使った事件でした。

疑いの目を向けられた中山信一議員は395日、奥様は273日という長期勾留されたりして13名が起訴されましたが、裁判で結局は無罪。そこでは司法の正義はまだ正当に機能していたのに、高知での本件は司法もグルになって権力の犯罪に手を貸したのです。

しかし、今だにこうして理不尽に、白を黒と言いくるめる、無法行為をしようとする奴らが存在すること自体が信じられませんが、たとえ地方のちっぽけな議員・警察・検察・司法でも、権力を持つと好き勝手なことが出来るという幻想にとらわれるのでしょうか。

そんな暴挙はけっして許せませんし、目をそむけてはならないと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年11月9日
読了日 : 2009年11月9日
本棚登録日 : 2009年11月9日

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