ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険 (岩波少年文庫 233)

  • 岩波書店 (2016年5月18日発売)
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ミス・ビアンカシリーズ。
原題は「ザ・レスキュアーズ(救助者たち)」というだけあって、シリーズ最初の今作は、「くらやみ城」というおどろおどろしい牢獄から、ひとりの詩人を救出する話です。
ねずみの団体「囚人友の会」が、ノルウェー人の詩人を救うため、ノルウェー語のできるノルウェーのねずみを詩人の救出に向かうよう、1匹のねずみをノルウェーに派遣します。

「くらやみ城」がどこにあるのかは明記されていませんが、地中海から川を北上する、山の奥にあるようです。(北イタリア?)
ノルウェーねずみに話をするよう選ばれたのが、ミス・ビアンカ。
あまやかされた、世間知らずの、社交好きの、おしゃれな、ぜいたくな、旅行好きの、わがままなミス・ビアンカが選ばれた理由はただひとつ。
飼い主の大使が、ノルウェーに赴任することになったから。
飛行機でびゅ~んと行けちゃうわけです。

しかし楽なのはそこまで。
世間知らずですから、ノルウェーねずみとの会話もかみ合わない。
なんとか船乗りねずみのニルスをつれて「囚人友の会」に帰ってきて、ミス・ビアンカに仄かな恋心を寄せるバーナードと3人で「くらやみ城」を目指します。

ミス・ビアンカはあまやかされた、世間知らずのねずみではありますが、責任感が強く、怖いからといって逃げ出すことはありません。
邪悪な猫のマメルークに対しても、恐怖をおさえて頭を使い、仲間の危機を救います。
下で受け止めてくれるという仲間を信じて、高いところから飛び降りたりもします。

さて、ねずみの冒険もさることながら、人間の詩人をどうやって救出するのか。
そもそもねずみと人間の間で意思の疎通は可能なのか。
”詩人というものは、あたりまえのことにおどろきを見いだし、おどろくべきことを、あたりまえにうけとる才能をもっているものです”
つまり、問題なし。

そこここに、都合のいい偶然が転がっているのはご愛敬。

挿絵のガース・ウィリアムズの絵がまた、素晴らしい。
過剰な擬人化はしていないのに、ちゃんとミス・ビアンカとニルスとバーナードが描き分けられています。
挿絵を見ているだけで、和むなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月3日
読了日 : 2023年2月3日
本棚登録日 : 2023年2月3日

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