武蔵坊弁慶 (源平絵巻物語 第2巻)

著者 :
  • 偕成社 (1979年4月1日発売)
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感想 : 8
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この内容はちょっと意外でした。
どこまでが事実なのかはわかりませんが…というよりも、多分ほとんどが他の伝説が混じったりフィクションだったりして、事実ではないと思いますが、それでも彼は実在の人物なんですよね。

この本では弁慶が生まれたところから義経と五条の橋で出会うまでが描かれています。
つまり、明らかにされている事実が始まる前に終わってしまうわけで、こんな描き方ってある?

生まれたときは既に体が3歳児の大きさで(お母さん、大変でしたね)、髪の毛は本より歯も生えそろっていたのだそうです。
なぜなら、お母さんのおなかに18カ月もいたからだ、と。(お母さん、大変でしたね)

お父さんは「これはきっと鬼の子だ」と山奥に捨てようとするのを、おばさんが引き取って5歳まで育て、その後お坊さんにさせようと延暦寺に預けるわけです。
しかし、弁慶(当時鬼若)のお父さんって、藤原道隆の子孫で高名なお坊さんだったのですよ。
なのに、我が子を捨てようとするって…慈悲の心は?

しかし体つきといい名前といい、暴れん坊になるのはあからさまな伏線というもの。
ただ一人信頼していたお坊さんにももてあまされていたことを知り、弁慶は寺を飛び出し、ひとりで修行することにします。
そしてその時、父親の弁昌から「弁」の字を、信頼していたお坊さんの慶心から「慶」の字をもらって、弁慶と名乗ることにしたのです。

ひとりで修行する=刀の千本狩り
独善的ですが、これがきっかけで義経と出会うのですから運命ってわからないものです。
っていうか、だからこれ、ほとんどフィクションだと思うのですが、弁慶になるまでの詳しい物語が創作される時点で、弁慶愛されてるんだなあと思いました。

弁慶が欲していたのは千本の刀ではなく、自分を偏見なく評価してくれる人だったのかもしれませんね。(だからフィクションだってば)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月2日
読了日 : 2024年2月2日
本棚登録日 : 2024年2月2日

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