私の場合、読書というのは文字を目で追い、文意を捉え、そのうえで描かれた世界を視覚的に想像し、まれに音や匂いや手触りや温度なども想像しながら世界を構築し、登場人物に感情移入をしたり、反感を持ったりしているのだろうと思う。
4歳で「シーンレス」になった彼女の読書はそれとはまったく違い、点字を指で読んだり、朗読を耳で聴いたりして得た言葉を、視覚を除く感覚のすべてで味わっている。
一言たりともおろそかにせずに受け取った言葉を感じる元となるのは、実際の彼女の体験による部分が大きい。
国内も海外も、彼女の行動範囲は広い。
わからないことをわからないままにしない彼女の知識欲が、自身の体験・体感を物語の言葉に紐づけていく。
だからなのか、「読書エッセイ」ということになっているが、この本は論文集のようでもある。
一冊一冊に込められたテーマ、仮説とそれを検証する過程・結論という流れと、多くの知識に支えられたしっかりとした論理。
こんな骨太な読書体験もあるのだと驚いた。
そして、オスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」を読んでみたく思った。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年8月31日
- 読了日 : 2019年8月23日
- 本棚登録日 : 2019年8月31日
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