さんだらぼっち (文春文庫 う 11-5 髪結い伊三次捕物余話)

著者 :
  • 文藝春秋 (2005年2月10日発売)
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目次
・鬼の通る道
・爪紅
・さんだらぼっち
・ほがらほがらと照る陽射し
・時雨てよ

家を焼け出されたお文は芸者をやめて、伊三次の女房になる。
が、今まで女中を雇って家のことをやってもらっていたお文には、家事は難しいばかり。
見かねた長屋のおかみさんたちがあれやこれやと面倒を見てくれていたうちはよかったが、子どもをめぐるいくつかの事件が重なって、お文は近所とトラブルを起こし家を飛び出してしまう。
やれやれ、なかなか落ち着かない二人である。

それにしても、ずっとお文の家で身の回りの世話をしていたおみつは、あんなにお文を慕っていたのに、いくら流産して気が高ぶっていたとはいえ、あんなひどい事をいうとは。
私も信頼していた人から、陰で裏切られていたことを聞かされてすごくつらかったことがあるから、お文がショックを受けたことが身につまされてしょうがない。

実はこのシリーズは、人の心の暗い部分を明らかにする作品が多くて、実は読後感の重い話が多いのだなあと今さらながら気がついた。

とはいえ、すりの直次郎が足を洗ったり、伊三次に弟子が出来たり子どもが出来たり、世界はどんどん変化を続ける。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月20日
読了日 : 2020年8月20日
本棚登録日 : 2020年8月20日

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