古今和歌集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫 81 ビギナーズ・クラシックス)
- 角川学芸出版 (2007年4月25日発売)
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感想 : 35件
好きな歌が新古今和歌集だったのでそちらを先に読んでしまったが、新古今和歌集と比べるとこちらの古今和歌集の方がやわらかい印象。
今回この本に取り上げられていた歌の中で一際心に残った歌が、
しののめの ほがらほがらに 明けゆけば おのがきぬぎぬ なるぞかなしき
なのだけど、夜が明ける様子を「ほがらほがら」と表現しているのが面白い。
「ほのぼの」だと悲壮感がなくむしろ夜明けが楽しみな感じがするのに、「ほがらほがら」だとなんだか自分の意思とは関係なく、無慈悲に時が過ぎていくような感じすらする。
またその情景を描写したあとに、別れるための身支度をしている様子が現実的で、ちょっと現代的にも感じた。
読み人知らずの歌だが、本書では身支度という日常を切り取っているところから、女性の目線なのかと書かれていて、なるほどなと思わされた。
そういうわけで、音の面白さ、情景の選び方、体験したわけではないのに作者の心が身近に感じられることなどから、私の本書No.1の歌である。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年11月11日
- 読了日 : 2022年11月11日
- 本棚登録日 : 2021年2月13日
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