生物リズムについて調べていくつもりでいて、何気なく本屋さんで棚を眺めていると、まさにピッタリのタイトルを発見し、購入してみました。最近発売された本ですが、1994年に発売された『いのちとリズム』の改題です。
内容は、「リズム」という横糸を使って普通の教科書では別々の章に描かれる内容を前半で横断的にレビューし、ラストで著者の考えをエッセイ的に述べるという、ちょっと変わった構成です。流れるように理解できる洗練された文章で、サイエンス・ライターとして、読者のことをよくわかって書いておられるな、と自分で書くときの参考になりました。
基本的に、著者は実験家ではなく、これまでの知見をまとめているだけなのですが、文中、それが分かりにくくなっているところがあり、前半ではそれを文脈で補完できたものの、後半ではどこまでが科学的知見でどこからが著者の想像なのか分かりづらくなっている点が増えてきまして、そこで★4です。
平衡状態においては空間の概念も時間の概念もなく、外部刺激に誘発されてリズムが生まれたときに時空間の概念がしょうじるなぜ人間は同じことの繰り返しに安堵を覚えるのか、ということに対する考察が、著者の至ったひとまずの結論で、それは、規則的な動きは予測可能性を生み、その安心感として脳の報酬系に作用するメカニズムが進化したのではないか、ということです。あとがき等をみると、著者はおそらく自らの体験から考えついたようですね。それはそれで、一考に値すると思いました。現代でこのときからどれほどの知見が得られたのか、サイクルを勉強しながら補完していきたいと思いました。
- 感想投稿日 : 2022年5月6日
- 読了日 : 2022年5月6日
- 本棚登録日 : 2022年5月6日
みんなの感想をみる