名だたる文筆家がきら星のごとく収録されている。
とはいえ、短編の2/3くらいは自分の好きな甘いものや、おやつへのこだわりを語っている。
もちろん、展開、情景描写、会話、感性どれも素晴らしいのだが、どうしても似たようなテーマになり、読んでるこちらがテーマにお腹がいっぱいになってくる。
2022年に刊行されたにもかかわらず、時代的に戦中〜戦後に活躍した作家が多い故、必然的にあんこ、団子、せんべい、シュークリームなど「その時代」のおやつの話が中心。
もうちょっと「ティラミス世代」、「タピオカ世代」の話も聞きたいもの。
そんな中、時折斬新な切り口で語られる物語は新鮮で、箸休め的な存在としてありがたい。
特に、
穂村弘氏「かっこわるいドーナツ」
東海林さだお氏「チョコレートの不思議」
種村季弘氏「羊羹」
伊集院光氏「3時のおやつ」の話
内館牧子氏「チョコレート」
尾辻克彦氏「チョコボール」
が秀逸だった。
最後の「チョコボール」は描写と心理展開の一致が素晴らしく、尾辻氏の他の作品も読んでみたくなった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月12日
- 読了日 : 2024年1月12日
- 本棚登録日 : 2022年8月22日
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