あらすじを一言で表すのが本当に難しい作品ですが、ざっくりいうと「女の影(堂々としすぎて影ですらない)がつきない魅力的な夫と、その『女ったらしの部分』を含めて愛している主人公・柊子、そして旅先のビーチで出会ったうつくしく透明なもう一人の主人公・ミミ。柊子とミミは帰国後も接点を持ち、ミミは夫をも魅了する」……みたいな……
実は思わず途中で読むのをやめてしまった本。
ミミの奔放さがなんともかわいらしくてそのキャラクターに引き込まれたものの、先にオチを知ってしまい「えええ」と(はっきりいうと「がっかり」と)してしまい、読むのをやめた……のですが江國さんの美しい言葉づかいが恋しくなってついつい少しずつ読み進めてしまいました。
オチを「がっかり」だと思ったのは、柊子に感情移入をしてしまっていたせいだと思います。途中の柊子さんにまつわる描写をしっかり読み、終盤のミミのパートを読んでいるとと少しもがっかりではないし後味も悪くなかった。
柊子に入れ込むよりはどちらかといえばミミに入れ込むほうが物語を楽しめるのかなと思いました。柊子から見ても納得できるエンディングだったけれど。
柊子とミミ、ダブルヒロインでしたがどちらにも理解できて、しかしどちらもわかりかねる部分がありました。おもしろかったです。
柊子と夫・原さんの関係はとっても奇妙で、相手が他人と交わることで自分が相手を所有していることを理解するというか…「女の影ごと許容する」というのはすごくよくわかるんだけど一歩離れて見てみるととんでもなく狂的だなと思った。
- 感想投稿日 : 2016年1月11日
- 読了日 : 2016年1月11日
- 本棚登録日 : 2016年1月11日
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