『一兵卒』がすばらしい。戦争で死んでゆく兵の包み隠さざる心の内を描き切っているように思える。殊更劇的に表現するわけでもなく、淡々とした筆致ながら溢れくる兵のそのままの姿を30頁にも満たない中に収めているのは見事というほかなく、読後の余韻が生半可ではない。
『蒲団』は文学史に与えた影響も大きいとされるが、芳子にここまで執着する理由が分からないままその醜態だけを見せられている気がして、有名な最後の場面にも十分な説得力を感じられなかった。
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- 感想投稿日 : 2022年4月3日
- 読了日 : 2022年4月3日
- 本棚登録日 : 2022年2月23日
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