蒲団・一兵卒 (岩波文庫 緑 21-1)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年10月16日発売)
3.40
  • (29)
  • (65)
  • (127)
  • (15)
  • (6)
本棚登録 : 858
感想 : 101
4

『一兵卒』がすばらしい。戦争で死んでゆく兵の包み隠さざる心の内を描き切っているように思える。殊更劇的に表現するわけでもなく、淡々とした筆致ながら溢れくる兵のそのままの姿を30頁にも満たない中に収めているのは見事というほかなく、読後の余韻が生半可ではない。

『蒲団』は文学史に与えた影響も大きいとされるが、芳子にここまで執着する理由が分からないままその醜態だけを見せられている気がして、有名な最後の場面にも十分な説得力を感じられなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月3日
読了日 : 2022年4月3日
本棚登録日 : 2022年2月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする