物語で読む日本の刀剣150 (イースト新書Q)

  • イースト・プレス (2015年5月10日発売)
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感想 : 16
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立ち読みしただけだが、値段通りの価値は無い。買っても金の無駄である。入門書としてなら、と書いている人もいるが、各刀剣についての歴史記述が不正確な以上、総覧としても使えない。正直、刀剣女子の書いた調査系同人誌をお求めになった方が余程正確な記述である。
「歴史編集部」が編纂したと名乗る割に、歴史的背景の記述が、パラパラとめくっただけでも蛍丸の命名背景である多々良浜の戦いについて、江雪左文字の板部岡江雪斎主家である小田原北条家についての記述など、あまりに不正確が過ぎる。随分と舐められたものである。
2015年1月サービス開始である刀剣乱舞onlineの盛り上がりを見て慌ててまとめて手早く出版したという感じが手に取るように判る刀剣のチョイスなのがまた読者を馬鹿にしている。刀剣に物語を求めるのであれば、目ぼしい逸話の無いほぼワンオーナーに近い刀剣である蜂須賀虎徹などは候補に上がってこない筈だ。ゲーム初期実装の刀剣を並べ、天下五剣や三名槍であればおそらく実装が見込めるという判断で載せているのだろう。「物語で読む」のであればもっと魅力的な物語を持つ刀剣は全国にごまんとある。
2015年5月の刊行なので、後の刀剣女子からの苛烈な指摘を免れただけで(なので刊行時点では一般には焼失とされていた燭台切光忠について失われた体で書いてあるのは仕方がない)、刊行があと3ヶ月遅ければ刊行直後に大幅な改訂を迫られたか、早々に回収・絶版になっていた程度の記事の正確さで、マシなのは刀剣の部位についてぐらいだが、これは刀剣の美術書を参考にされた方が良い。朱を入れて出版社に送りつけるレベルの出来。

読書状況:積読 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2020年2月26日
本棚登録日 : 2020年2月26日

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