マッキンリーに死す: 植村直己の栄光と修羅 (講談社文庫 な 30-3)

著者 :
  • 講談社 (1989年5月1日発売)
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感想 : 9
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「長尾三郎」が「植村直己」の生涯を描いたドキュメンタリー作品『マッキンリーに死す―植村直己の栄光と修羅』を読みました。

「植村直己」関連の作品は、本人の著書『北極圏一万二千キロ』以来ですね。

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世界初の5大陸最高峰登頂や北極圏単独走行を成功させて、栄光にに輝いた「植村直己」は「前進」のみを選んで、ついに厳冬のマッキンリーに消えた。
手記や手紙を軸に広範な取材を加えて、43歳で幕を閉じたこの現代の英雄の素顔に迫り、冒険行の壮絶なドラマを感動的に描く。
1986講談社ノンフィクション賞受賞作品。
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先日読了した「野口健」作品の『確かに生きる 落ちこぼれたら這い上がればいい』でも紹介されていた作品、、、

これまで何冊か「植村直己」本人の著書を読んでいますが、それらの作品を含め、「植村直己」が冒険に賭けた人生を総括的に網羅している作品でしたね。

「植村直己」の不屈の精神や誰にも好かれる人柄について、改めて感じることのできる作品でした。

先日訪ねた『植村直己冒険館』でも紹介されていましたが、、、

デンマーク政府が、「植村直己」が史上初のグリーンランド縦断を成し遂げた業績を後世に残すため、「植村直己」がゴールの目標としたヌナタックを「ヌナタック・ウエムラ峰」と命名したというエピソードが紹介されており、その功績は国際的にも認められていたんだなぁ… と感じましたね。

そして、「植村直己」の残した言葉が本書でも引用されていて、読みながら感動しちゃいました。


 君たちに僕の考えを話そう

 僕らが子どもの頃

 目に映る世界は新鮮で、すべてが新しかった

 やりたい事はなんでもできた

 ところが年をとってくると疲れてくる

 人々はあきらめ、みんな落ち着いてしまう

 大部分の人は、夢を失っていくんだよ

 でも、僕はいつまでも子どもの心を失わずに

 この世を生きようと思う

 不思議なもの、すべての美しいものを

 見るためにも…

 いいかい、

 君たちはやろうと思えば何でもできる

 僕と別れた後も、そのことを思い出してほしい

 やろうと思えば何でもできるんだ

 ≪1983年 「ミネソタ・アウトワード・バウンド・スクール」にて 植村直己(42歳)≫



うーん… 夢の半ばで人生の幕を閉じなきゃいけなかったなんて、本当に残念ですね。

日本冬期ヒマラヤ登山隊と南極犬橇横断&ビンソン・マシフ登山のいずれもが成功せず、厳冬のマッキンリーに挑戦した際には焦り… 絶対に成功させないといけないという強いプレッシャーがあったんでしょうねぇ、、、

「冒険とは生きて帰ること」という自身の言葉を実践できなかった最後の冒険… 還ってきてほしかったな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>スポーツ・登山
感想投稿日 : 2022年6月12日
読了日 : 2013年10月7日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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