マッキンリーに死す: 植村直己の栄光と修羅 (講談社文庫 な 30-3)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061844384

感想・レビュー・書評

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  • 「長尾三郎」が「植村直己」の生涯を描いたドキュメンタリー作品『マッキンリーに死す―植村直己の栄光と修羅』を読みました。

    「植村直己」関連の作品は、本人の著書『北極圏一万二千キロ』以来ですね。

    -----story-------------
    世界初の5大陸最高峰登頂や北極圏単独走行を成功させて、栄光にに輝いた「植村直己」は「前進」のみを選んで、ついに厳冬のマッキンリーに消えた。
    手記や手紙を軸に広範な取材を加えて、43歳で幕を閉じたこの現代の英雄の素顔に迫り、冒険行の壮絶なドラマを感動的に描く。
    1986講談社ノンフィクション賞受賞作品。
    -----------------------

    先日読了した「野口健」作品の『確かに生きる 落ちこぼれたら這い上がればいい』でも紹介されていた作品、、、

    これまで何冊か「植村直己」本人の著書を読んでいますが、それらの作品を含め、「植村直己」が冒険に賭けた人生を総括的に網羅している作品でしたね。

    「植村直己」の不屈の精神や誰にも好かれる人柄について、改めて感じることのできる作品でした。

    先日訪ねた『植村直己冒険館』でも紹介されていましたが、、、

    デンマーク政府が、「植村直己」が史上初のグリーンランド縦断を成し遂げた業績を後世に残すため、「植村直己」がゴールの目標としたヌナタックを「ヌナタック・ウエムラ峰」と命名したというエピソードが紹介されており、その功績は国際的にも認められていたんだなぁ… と感じましたね。

    そして、「植村直己」の残した言葉が本書でも引用されていて、読みながら感動しちゃいました。


     君たちに僕の考えを話そう

     僕らが子どもの頃

     目に映る世界は新鮮で、すべてが新しかった

     やりたい事はなんでもできた

     ところが年をとってくると疲れてくる

     人々はあきらめ、みんな落ち着いてしまう

     大部分の人は、夢を失っていくんだよ

     でも、僕はいつまでも子どもの心を失わずに

     この世を生きようと思う

     不思議なもの、すべての美しいものを

     見るためにも…

     いいかい、

     君たちはやろうと思えば何でもできる

     僕と別れた後も、そのことを思い出してほしい

     やろうと思えば何でもできるんだ

     ≪1983年 「ミネソタ・アウトワード・バウンド・スクール」にて 植村直己(42歳)≫



    うーん… 夢の半ばで人生の幕を閉じなきゃいけなかったなんて、本当に残念ですね。

    日本冬期ヒマラヤ登山隊と南極犬橇横断&ビンソン・マシフ登山のいずれもが成功せず、厳冬のマッキンリーに挑戦した際には焦り… 絶対に成功させないといけないという強いプレッシャーがあったんでしょうねぇ、、、

    「冒険とは生きて帰ること」という自身の言葉を実践できなかった最後の冒険… 還ってきてほしかったな。

  •  日本を代表する登山家・冒険家を綴った作品だ。1986年ノンフィクション賞受賞作をした作品である。
     植村は、エベレスト、北極横断、そしてマッキンリーの単独登頂という偉業を成し遂げた。
     カメラマンを載せたセスナ機に向かって手を振る遭難した植村氏と、翌日、散乱する荷物をテレビの映像があった。私が子供の頃のことだ。青い空と白い山、確かに一人の男が存在していたのだ。

  • 1982年2月、いよいよ夢の南極大陸三000キロの犬橇単独行と、南極最高峰ビンソン・マシフ登頂に向けて日本を出発、サンマルチン基地に十一カ月滞在し越冬生活を送るが、イギリスとアルゼンチンの間でフォークランド紛争が勃発し南極を断念、大きな衝撃を受け失意の帰国。
    その後支えてくれたスポンサーの経費を回収しなければならず、全国を講演しながら回る日々が続き、南極の夢を捨てきれないまま、1984年マッキンリー冬期単独登頂に挑み、成功したものの、そのまま帰ることはなかった。
    植村さんの冒険がすべて詰まった本、86年講談社ノンフィクション賞受賞作品!

  • 長尾三郎の『死す』三部作の一つ。

    植村直己の生涯を追ったドキュメンタリー。
    初めてこの本を読んだのは大学1年のときだった。

    日本人で初めてのエベレストサミッターであり、世界で最初の五大陸最高峰制覇者。
    すべての冒険を成功させてきた植村だが、冬のエベレストや南極大陸横断から失敗が続く。

    そして、厳冬期のマッキンリー単独登山に挑戦する。
    43歳の誕生日に登頂に成功するも、そこから消息を絶ってしまった。
    世界の人々に愛されて来た植村の半生、素顔が良くわかる一冊。

    86年講談社ノンフィクション賞受賞作です。

  • 世界初の5大陸最高峰登頂や北極点やグリーンランド単独行に成功し、43歳で厳冬のマッキンリーに姿を消した、植村直己の栄光と挫折。
    手記や手紙、家族や知人や仲間からの取材によって世界的冒険家植村直己の素顔に迫るノンフィクション。
    壮大な夢とロマン。タフな冒険の世界でしか生きられなかった、人間、植村直己のコンプレックスや弱さや苦悩も書かれていて興味深い。
    奥さんとの出会いから結婚のくだりはとてもほほえましく、そのエピソードからはとてもシャイで優しい一面も。
    植村さんの冒険が、現代においても世界的に評価が高いのは、基本的に単独行だったからではないかと思います。

  • 春や秋に、バーベキューに行ったときに、1冊持っていって、食後にひと遊びして、その後、ボーっとしながら、読んでみてみたら、人生観が広がるのではないでしょうか。

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