「高野秀行」の面白おかしいノンフィクション作品『ミャンマーの柳生一族』を読みました。
紀行は、昨年11月に読んだ「村上春樹」の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』以来ですね。
-----story-------------
旅行ガイドは軍情報部!?
爆笑必至の珍道中記。
探検部の先輩「船戸与一」と取材旅行に出かけたミャンマーは武家社会だった!
二人の南蛮人に疑いを抱いたミャンマー幕府は監視役にあの「柳生一族」を送り込んだ。
しかし意外にも彼らは人懐こくて、へなちょこ。
作家二人と怪しの一族が繰り広げる過激で牧歌的な戦いはどこへ…。
手に汗握り、笑い炸裂。
「椎名誠」氏が「快怪作」(解説)と唸り仰天した、辺境面白珍道中記。
-----------------------
軽めの本が読みたくて本書を選択… ふざけたタイトルに目を奪われてフィクション作品だと思って買ったのですが、、、
実はノンフィクション作品… こんなエンタテイメント性のある旅行記は初めて読みましたね。
■前口上
■序章 ミャンマーは江戸時代
・ミャンマー柳生、おそるべし
■第一章 アウン・サン家康の嫡子たち
・柳生、仕事すべし
・幕府にたてつく人々
・幕府の豆鉄砲狩り
・ミャンマー幕府成立とスー・チー千姫
■第二章 柳生三十兵衛、参上!
・柳生三十兵衛、参上
・謎の男は「裏柳生」
・柳生一族、懐柔作戦
・かけがえのない「元麻薬王」を大切に
・スーパー外様「ワ藩」別件
■第三章 たそがれのミャンマー幕府
・中国がアメリカに見えた日
・武家社会はつらいよ
・鎖国の中の国際人
■第四章 柳生十兵衛、敗れたり!
・アウン・サン家康の風呂場
・柳生と老中の死闘
・ミャンマーのシャーロック・ホームズ
・柳生十兵衛、敗れたり
■終章 柳生一族、最後の戦い
・キン・ニュン宗矩はタカノを知っていた!?
・柳生一族の没落
■あとがき
■解説 椎名誠
2004年(平成16年)に著者の「高野秀行」が、冒険小説作家「船戸与一」の取材旅行に同行する形で、ミャンマーを旅行した際の様子を描いたノンフィクション… 解説の「椎名誠」が「快怪作」と表現したほどのユニークな辺境面白珍道中記です、、、
本書では、当時、軍事政権だったミャンマー政権を、武家社会で鎖国政策を取っていた江戸(徳川)幕府に例え、軍情報部のミャンマー人たちを、「徳川家」の隠密になぞらえて「柳生一族」と称しています… そして、「アウン・サン」は「徳川家康」、「スー・チー」は「千姫」となるという奇抜な発想により、一見すると、バカバカしい旅行記のように思えてしまいますが、時折、吹き出しそうになる場面を盛り込みながらも、ミャンマーの国政や国民性について、丹念に書き込まれており、ミャンマー入門とも呼べるべき作品に仕上がっていましたね。
識字率が高く読書大国であることや、都市部に住んでいても鎖国により外国人との交流機会はないし、他地域との交流がない辺境の少数民族が多いにも関わらず社交性に富んでいること等が、面白おかしい文書の中で、その理由等も含め鋭く考察されているのが印象的でした… こんな面白い紀行は初めてですね、、、
これまで遠く感じていたミャンマーが、少し近くに感じられるようになりました… 行ってみたいな。
- 感想投稿日 : 2022年10月26日
- 読了日 : 2017年4月17日
- 本棚登録日 : 2022年3月11日
みんなの感想をみる