マイクロワールド 上 (ハヤカワ文庫 NV ク 10-31)

  • 早川書房 (2015年3月6日発売)
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2008年(平成20年)に死去したアメリカの作家「マイクル・クライトン」の死後に見つかった書きかけの原稿と資料をもとに「リチャード・プレストン」が作品として完成させた長篇SF作品『マイクロワールド〈上〉〈下〉(原題:Micro)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。

-----story-------------
〈上〉
「わずか2センチのマイクロサイズに"次元変換"されてしまった学生たちが、
 大自然と対峙する極上の冒険活劇! 抜群に面白い!
 最先端の蘊蓄、次世代への警鐘、手に汗握るスリルとサスペンス!
 どれをとっても、紛れもない、僕らのクライトンだ。」

ケンブリッジ大学で生物学を専攻する院生の「ピーター・ジャンセン」は、仲間六人と先端研究にいそしんでいた。
そんな若き科学者たちは、新薬開発を行なうベンチャー企業Nanigenマイクロテクノロジーズにリクルートされ、ハワイの謎めいた研究所に招かれる。
彼らはそこで“テンソル・ジェネレーター”の存在を知ってしまうのだが…。
巨匠の死後発見された未完の遺稿を練達のサイエンス・ライターが書き継いだ、最後の傑作。

〈下〉
「マイクル・クライトン」はもう読めない。
本書のミクロの世界で、最後の冒険に挑もう。

Nanigen社の犯罪を知り、わずか二センチの体に縮められてしまった七人の大学院生。
凶暴な生き物が無数に蠢くハワイの密林に放り込まれた彼らは、専門知識のみを武器に決死の脱出を図る。
一方、同社周辺で続発する事件に不審を抱く警察が動き始め、行方不明の院生らを気づかう謎の人物も現われる。
このピンチを切り抜け、若者たちはもとの身体に戻ることができるのか。
大自然への畏怖に満ちた、ベストセラー作家の遺作。
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「マイクル・クライトン」の没後に発見された原稿は、全体の4分の1ほどだったらしく、残された手書きのメモや資料をもとに、『ホット・ゾーン』で知られる腕利きのサイエンス・ライター「リチャード・プレストン」が2年がかりで完成させ、2012年(平成24年)に刊行された作品です。

 ■はじめに――われわれはどのような世界に住んでいるのか?
 ■第一部 テンソル
 ■第二部 人間の群れ(バンド)
 ■第三部 タンタラス
 ■参考文献
 ■訳者あとがき 酒井昭伸

「ピーター・ジャンセン」は生物学を専攻する大学院生… マサチューセッツ州ケンブリッジの大学で、仲間の6人の院生と共に先端研究にいそしんでいた、、、

そんな7人の科学者が、新薬開発を行なうベンチャー企業Nanigen(ナニジェン)マイクロテクノロジーズにリクルートされる… ハワイの謎めいた研究所に招かれた「ピーター」たちは、そこでハイテクを駆使した革新的な装置“テンソル・ジェネレーター”の存在を知るが…。

やがてNanigenが関わる犯罪を知った「ピーター」ら7人は、“テンソル・ジェネレーター”によって身体を百分の一サイズに縮められ、ハワイの密林に放り込まれてしまう… 48時間以内にもとの大きさに戻らないと副作用から死を招くらしい、、、

牙をむく獰猛な大自然を前に、若き科学者たちは専門知識のみを武器にジャングルから決死の脱出を図る… 獲物をかじる不気味な物音、闇にこだまするあやしい鳴き声、鬱蒼たる森にうごめく奇怪な虫たち。

そのただなかで、身長2センチほどのマイクロヒューマンにされた「ピーター」ら7人の大学院生は、持てる知識を総動員して脱出を目指していた… その一方、7人の存在が目障りなNanigenの社長「ヴィン・ドレイク」は、武装した刺客を“テンソル・ジェネレーター”で縮小して送り込む、、、

だが、同社周辺で続発する事件に不審を抱いた警察が動き始めた… さらに、行方不明となった院生らを気づかう謎の人物もまた、Nanigenをひそかに監視していた。

「ピーター」ら若き科学者たちは無事にスーパージャングルを切り抜け、もとの身体に戻ることができるのか……。


久し振りにSF作品を読みましたが面白かったですね… 重大な事実を知ってしまい口封じのため、身体を100分の1サイズに縮められ、ハワイの密林に放り出されてしまう というワクワクする展開、、、

人体の縮小という展開は『ミクロの決死圏』を彷彿させますが、舞台になるのがハワイの大自然で、2cm弱の大きさに縮められた人間に、巨大なアリやヤスデやハチが次々に襲ってくる… 人間が小さくなることで昆虫が怪獣化するという展開から、逆『ジュラシック・パーク』という印象の方が強い作品でした。

荒唐無稽な展開ですが、昆虫や蜘蛛、鳥類、蝙蝠等が敵なので頭の中でイメージしやすかったことも読みやすかった要因かなー 若き科学者たちが、それぞれの専門分野(昆虫学、植物学、および動植物の毒)の知識を駆使してサバイバルしていく冒険パートは無類の面白さでした、、、

でも、巨大な昆虫なんて、きっと… いや、間違いなくグロテスクだから見たくないなぁ。

クライマックスの展開も愉しめたし、生き残るのは意外な人物だったし… エンターテイメント作品として愉しめました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>SF/ファンタジー(海外)
感想投稿日 : 2024年1月4日
読了日 : 2022年1月24日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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