鮎川哲也の長篇ミステリ小説『偽りの墳墓~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
『人それを情死と呼ぶ~鬼貫警部事件簿~』、『準急ながら~鬼貫警部事件簿~』に続き、鮎川哲也の作品です。
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浜名湖東岸の温泉街で、土産物屋のおかみ・いくが首吊り死体で発見された。
自殺を偽装した痕跡があったことから、多額の保険金を掛けていた夫・捨松(すてまつ)が疑われるがアリバイが崩せない。
さらに、保険会社の依頼でいくの死を調べていた美人調査員が殺される、第二の事件が発生。
やはり真犯人は捨松なのか!? ところが事件当日いくを訪ねてきていた第三の男の存在が浮上して……。
巧緻を極めたトリックに鬼貫警部が挑む!
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1962年(昭和37年)に『小説新潮』で発表された短篇を翌年、長篇化したもので鬼貫警部シリーズの作品です。
■一 夜おとずれた客
■二 湖畔の疑惑
■三 カードの数字
■四 服は汚れていた
■五 手紙と万年筆
■六 海の島
■七 なぜ驚いたか
■八 雨の唄
■九 残された解釈
■十 破局の対話
■付録1●あとがき 鮎川哲也
■付録2●偽りの墳墓 鮎川哲也
■エッセイ●鮎川哲也氏と私と鎌倉など 斎藤栄(作家)
■解説●鮎川哲也と取材旅行 山前譲(推理小説研究家)
浜名湖沿岸にある温泉地・舘山寺の土産物屋の女将・山野いくが首吊り死体が発見されるが、遺体には偽装工作の跡が見え、夫・捨松に容疑が懸かかり、自殺を装った保険金目的の殺人事件として捜査が始まる… しかし、捨松には鉄壁のアリバイがあり容疑者から外される、、、
その後、保険会社からの依頼で、りくの殺害事件を調べていた女性調査員・須田和歌子が他殺死体で発見される… 当初は保険金目的の殺害に続き、その事実を知った調査員を殺害するという一連の事件と思われたが、捜査を進めるうちに意外な事実が判明し、事件は二転三転する……。
読み終えてみれば納得の真相ですが… なかなか難しいアリバイ崩しでしたね、、、
ちゃんとフェアに情報は提示してあるんですけどねー そこが、鮎川哲也の作品らしいところですかね… メモや万年筆、赤いワンピースといった小物の使い方も巧いし、当時のハンセン氏病への社会の無理解等も織り込まれており、社会派としても読める逸品でした。
- 感想投稿日 : 2023年4月16日
- 読了日 : 2023年4月16日
- 本棚登録日 : 2023年3月19日
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