理想的な容疑者 (創元推理文庫 140-18)

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フランスの作家カトリーヌ・アルレーの長篇ミステリ作品『理想的な容疑者(原題:L'amour a la carte (A cloche-caur))』を読みました。
ジャン=ジャック・フィシュテル、ソフィー・エナフに続き、フランスの作家の作品です… カトリーヌ・アルレーの作品は7年前に読んだ『わらの女』以来なので久し振りですね。

-----story-------------
深夜、口論の果てにドライブ中の車から妻を降ろし、置き去りにしたミシェル。
翌朝、殺害され、車で轢かれ顔の判別もできない女性の変死体が路上で発見された。
ミシェルの車には傷があり、状況は彼を理想的な容疑者にしたて上げていた。
身に覚えのない彼なのに、実の兄さえ彼を殺人犯だと思いこんでいる! 
信じてもらえなかった男のたどった道は? 
仏冒険小説大賞受賞の傑作。
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1979年(昭和54年)に刊行され、1981年(昭和56年)にフランス犯罪小説大賞を受賞した作品です。

夫婦喧嘩の末に、内縁の妻のアニェスを車から降ろし、置き去りにしたミシェル… 彼に妻殺しの嫌疑がかかった! 

アニェスは失踪し、その晩、女の轢死体が発見されたのだ… 死体は身元確認もできないほどだった。

ミシェルの兄ボリス・ルビアコフは、弟の否定にもかかわらず、彼の犯行と確信した… 兄の不信が、恐ろしい結末を呼び起こす!

夫(男)と妻(女)の考え方の違い、相互の理解の齟齬、そこから生じる微妙な心のズレ… それが恐ろしい事件に繋がっていく! という展開、、、

男女の違いの描き方や、それを殺人事件と絡めてサスペンスフルに展開する物語は、とてもフランス的な印象でした… モノクロのフランス映画で観てみたい作品でしたね。

冒頭の深夜の高速道路を走る車(ブルーのボルボ)の中でミシェルとアニェスが激しく言い争うシーンと、アニェスが行方不明となったときのミシェルの不安、恐怖、哀しみ、そして兄夫婦の迷いが描かれるシーンが印象的でした… 男女の関係って複雑なバランスの上に成り立っているんですよねー と改めて感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2023年7月22日
読了日 : 2023年7月22日
本棚登録日 : 2023年7月17日

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