日本社会の歴史 下 (岩波新書 新赤版 502)

著者 :
  • 岩波書店 (1997年12月22日発売)
3.57
  • (22)
  • (30)
  • (57)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 650
感想 : 28
3

下巻は後醍醐天皇から現代まで。

新書一冊では扱えるわけが無いくらい広い範囲だと思われるが、実際その通りで江戸時代から太平洋戦争まで圧倒的なスピードで進んでいく。

学校では近代史が等閑になっていると常々批判されているが、残念ながらこの本も同じである。

これは筆者が日本の中世を専門にしているためであり、一人で書く以上仕方のないことである。

いやむしろ、近代史の項目では琉球処分、偏向的な民族主義的な教育、アジア侵略などにしか触れられていないことを考えると、近代史が少ないのは幸運と言えるだろう。

筆者は明治政府が江戸時代を否定したことを批判しているが、戦前の歩みを否定するのなら、それは同じではないか?

網野さんは日本列島に生きる多様な人々を捉えることで、豊かな日本史を提示しようとしているが、これは現代にも通用するものだ。

網野さんに学ぶことは多いが、戦後70年以上過ぎた今となっては、近代史にも多様な視点が求められるのではないか。

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月2日
本棚登録日 : 2021年11月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする