網野史観の入門書として相応しい一冊。
網野さんの歴史観の捉え方は様々だが、一般の読者には日本史への多様な視点を与えてくれることは確かだ。
百姓と呼ばれる人々の実態、室町時代の商業発展などをつぶさに見ていくことで、非農業国家としての日本を描きだす。
また、差別階級と認識されがちな非人は、天皇や寺社に使える聖なる存在であったことなど、マイノリティに新たな視点を提供してくれる。
歴史に多様な視点を持つことは、皇国史観やマルクス史観など画一的カルト的歴史観に陥らないために極めて有益である。
そして、また、多様性が尊ばれる現代にも相応しいだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年10月7日
- 読了日 : 2021年10月7日
- 本棚登録日 : 2021年10月5日
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