岩井克人「欲望の貨幣論」を語る

  • 東洋経済新報社 (2020年2月21日発売)
3.95
  • (15)
  • (33)
  • (11)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 241
感想 : 28
4

経済学や貨幣について独学していくなかで、「これからの正義の話をしよう」「ビットコインスタンダード」を読んだ後にこの本を読んだ。
 
貨幣や経済を学ぶに連れ、学問は隔たりなく体系的に学ぶことの重要性と楽しさを覚えている。

また著者の思考をまずは読み取り、その上で対岸の思想を学ぶことも自分の思考を枠の中に留めないためにも柔軟体操として必要である。

前置きが長くなったが、アリストテレスのいうポリスを維持するための貨幣の必要性と、貨幣によるポリスの崩壊リスクというパラドックスについて共感したと同時に、そこに「欲望の貨幣論」の本質があることを理解した。

経済や貨幣を勉強する中で、自分自身これからの未来を生き抜くための手段を見つけたいという「未来の可能性に対する根拠」を欲求していたと感じたが、これは際限のない無限ループだと気づいた。

世の中に完全なものはなく、存在しているものが形を変え、時間軸とともに流転していくだけなのである。
なので我々は歴史から学び、その時にその瞬間に自分のエネルギーを注げる何かを考え続けることでしかないと私は思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月15日
読了日 : 2022年8月15日
本棚登録日 : 2022年7月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする