上流階級 富久丸百貨店外商部II

著者 :
  • 光文社 (2016年10月18日発売)
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バツイチアラフォーと乙女なゲイとの2人が、人生の寂しさ回避について本音と本音をぶつけ合う。
そんなフラットメイトの迷コンビがリッチマダムな富裕層に立ち向かっていく様は、もう勇ましくすらある。元気もらえる。Iは面白かったけどⅡでさらに円熟を増した感。

高殿さん作品は、登場人物同士のハイスペックすぎる会話に喰らいつくだけで必死になる。だけど、憧れる。自分にはないものに共感できてしまう不思議さを感じる。ゆるやかな上昇志向とでも言うか。
こんなに高回転で話ができる相手って、それだけで信頼してるってことだよねーとか、妙にニマニマもできる。


今回さらに、仕事としての楽しさを一切見出せない(私見)営業について、深い洞察を導き出している。


── いわゆる一つ上のポジションを狙ってるオジサンたちが困るんだわ。彼らは成功したいわけではない。失敗したくないだけなのだ
── 会話もしたくない相手からは何も買わない。会話ができないのは成績に自信がないから。手堅く売れるものしか置かない。つまり遊び心がない(要約)

失敗はしたくない。遊び心がない。じゃあどうすればいいの?というところに対し


── 結局は人生を楽しんでいるかどうかじゃないのかな。人の魅力や人生の厚みは会話に出る。それがサービス業の真髄─


もうバサーっと袈裟切りされた感じがした。それそれ、40代半ばも過ぎて浮上した人生楽しんでない疑惑。手堅く生活しちゃってる。厚みのある会話できる人が羨ましいよ!


─日本人が日本に居続けるように、上流階級の人は生まれつきそこにいるだけ


妬むつもりはないんだけど1巻に出てきた「教養」という言葉は、最低限身につけておきたいなぁと思った。
逆にその方が、人生を本当に楽しめるような気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年3月25日
読了日 : 2024年3月25日
本棚登録日 : 2023年11月4日

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