成功したベンチャー経営者や著名な経営コンサルタントなどは「コロナで死ぬのは高齢者だけなのだから、若者は今までの生活を変えず経済をどんどん回すべきだ」と発言する。一方で医療従事者や介護、小売、運送業など人々の生活維持に欠かせないエッセンシャル・ワーカーは、多数の感染者や死者を出しながら命懸けで働き続けること余儀なくされているー
この矛盾…
コロナ禍で、人々の「価値観」や「生き方」に、未だかつてないような分断が起きているのを感じることは多い。
この本は「パラサイト・シングル」や「婚活」という言葉を作り出し社会に流通させた社会学者・山田昌弘さんの新書本。
コロナによって炙り出された新しい社会の「格差」について取り上げている。(コロナが新たな社会的課題を生み出した、と捉えるのではなく、コロナがもともとあった社会的課題を顕在化、あるいは加速化させた、と捉えるべき〕
家族、教育、仕事、地域、消費の「格差」が広がっているという。この国のかたちは不可逆的に変化していて、以前の社会には戻れない。
著者は、平成を「格差は広がっているけど、それを認めることができなかった時代」だったとし、令和は「格差の存在を認め、それを踏まえた上で新しい形の社会をみんなで作っていく時代」にすべきという。
そのために家族の多様性を認め、愛情で結びつくカップルを促進すること、デジタル能力、コミュ力、英語力に力点を置いた公教育、働き方改革のさらなる推進、多様な人が住みつながりを作れる地域社会の形成。多様な承認欲求の多様な満たし方の推進、などの課題を解決する必要がある。
希望に満ちた時代にしていきたい。
そして、
ー いつの世も、時代は私たちの手で作られていく。それは決して変わることはありません。
と最後しめている。
そう思い、行動したい。
- 感想投稿日 : 2021年5月9日
- 読了日 : 2021年5月8日
- 本棚登録日 : 2021年5月8日
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