ドラマのような大袈裟なハッピーエンドでは全くないけど、ある種の希望があって、今の自分のしんどい心にただそっと寄り添ってくれるような小説だと感じた。
かおり、スー、関口、七瀬。
様々な人との出会いと別れ。それはいつだって唐突で、自分でコントロールは出来ない。幸せをもたらしてくれることもあれば、不条理で傷つけられることもある。
「こうしている間にも、刻々と過去に仕上がっていく今日。先に続いているのは未来であって、過去じゃない。どんなに無様でも大人の階段は上にしか登れない。」
「始まってしまったボクたちは、いつか終わる運命にある。必ず夜が朝になるように、必ず朝は夜になる。ただその必ずが今日なのか、明日なのか、20年先なのか、それは誰にも分からない。」
辛い出来事だって、時が経てばそんなこともあったなと懐かしめるようになるのかもしれない。そうやって人は悲しみを乗り越えていく。過去を少しずつ消化しながら、受け入れ、前を向いていく。人生なんて不条理なこともたくさんあって当たり前で、そんなものなのかなと思わせてくれた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年12月19日
- 読了日 : 2023年12月17日
- 本棚登録日 : 2023年12月17日
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