楽しみにしていたのだが、期待以上だった。
まず、ミステリーとしては叙述トリックを利用した二つの話の繋げ方はもちろんだが、やはりアリバイトリックに驚かされた。
これぞエロミスの真骨頂。エロとミステリーの絡め方があまりにも巧すぎる。
そして、
「本格のルールが現実社会のルールをも侵食」
という言葉がとても印象に残っている。
ミステリーの中にしか出てこないようなトリックによって、まるで本格ミステリーの「フェアかアンフェアか」を問うてるかのような現実社会のルールの穴が浮き彫りになる。
エロとミステリーの絡め方、ミステリーと社会派の絡め方、どちらも非常に鮮やか。
少々ラノベ的な雰囲気はあるが、一人一人の登場人物も面白く、解決編が少し説明的すぎる気はするものの、全体的には中弛みせずにノンストップで読め、数々の伏線(もちろん初読では気づかないが)もしっかり回収されている。
「人」と「場所」、二つの叙述トリックもしっかり騙された。
やはりあのアリバイトリックのような、"まるっきり新しいトリック"を味あわせてくれるのが早坂吝さんの小説の醍醐味だと改めて感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年7月10日
- 読了日 : 2021年7月10日
- 本棚登録日 : 2021年7月10日
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