並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし

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  • ホーム社 (2020年12月16日発売)
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本棚登録 : 172
感想 : 20

もう、めっちゃ分かるエピソードが多かったです。

ひとつめの『運転』のエッセイから心をガシッと掴まれました。
これは、運転が苦手な人には大概共感を得ると思います。
わたしは車の免許は持ってないのですが、原付きバイクの免許は持っていたので、よく分かります。
でも、車の免許を取らない/取れない理由は渡辺さんがエッセイで書かれている事が頭をよぎるから。
歩行者、怖いですよ。

なんだか渡辺さんのエッセイを読んでいると、村田沙耶香さんを思い起こしちゃうんですよね。文体も文章の温度も違うのですが、ズレ方が似ているというか。
とにかく面白い人だな、と思いました。
そしておふたりとも、勝手ながらお友達になりたいタイプです。

タイトルの並行宇宙(パラレル・ユニバース)とは、いわゆるパラレル・ワールドと同じ意味の言葉。
人はそれぞれ皆自分の五感をもってしか世界を認識できないーーーそれはもう皆違う宇宙に生きているといると同じ、のだと渡辺さんは書いています。

なるほど。身近な人も、遠くの人も、宇宙ごと違う、と思えば、少々の事で腹も立たないし、違う宇宙を覗く楽しみも倍増するってもんですね。
たまに共通点を見つけて喜んだり、全然違う宇宙に驚愕したり。

かくも楽しき他者のいる世界。

そして本は、他者の並行宇宙と手軽に出会える素敵なツールのひとつ。

ちなみにタイトルを考えたのはこの本の巻末で対談もしている住野よるさん。渡辺さんを「ライバル」だと公言しているそうで、自作の裏話まで披露しています。

『であすす』でおなじみ内山ユニコさんの美麗イラストがたっぷり挿入されているのも嬉しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ、コラム
感想投稿日 : 2021年9月13日
読了日 : 2021年9月12日
本棚登録日 : 2021年9月12日

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