ぜんぶの後に残るもの

著者 :
  • 新潮社 (2011年8月31日発売)
3.44
  • (15)
  • (52)
  • (74)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 512
感想 : 69
3

以前も書いたことがあったと思うけど、川上未映子さんのタイトルのつけ方が大好き。
「ぜんぶの後に残るもの」。
いいよね。

うんうん、と共感する場面も、着眼点の鋭さにハッとさせられる部分もたーくさんあったけど、ちょこちょこスキマ時間に読んだので結構忘れてしまっている。

P.81 唇ちょっと赤いのか
川上弘美さんの「センセイの鞄」から派生したエッセイ。この人のことも私は結構好きなんだけど、また再読したくなった。すごく。

P.112 プールで響き渡るもの
(略)なんというか母がこれもう、水中から胸が1mは優に上がってるのではないのというくらいの極上としかいいようのないバタフライで、鷲の羽のような水しぶきを建てながらばっさばっさこちらへ向かってくるではないか。ヒイ!とみじかく声をあげたわたしは、予想もしなかった母の勇姿に見とれ、あ…みたいな感じになって、そうするうちにもまさかのオールバタフライという吉永小百合さんも驚きの展開で母はがんがん近づいてくる。そしてわたしが立っている終点まで来るとなんかプロっぽい感じでいったん水のなかに溜める感じで深く潜るのだった。
「うっまいやん!」と半ば照れ隠し&大阪のツッコミの感じで母の水泳帽の横をパーンとはたいたら、その音はプール的に甲高く特徴的に響き渡り、そしてよくみるとそれは母ではない別のご婦人で、わたしはヒイ!と声をあげ「ミエちゃーん、いくよお」の呑気な声が逆サイドから聞こえるなか、プールのなかで跳ね上がって土下座したのだった。

P.147 「字」の国の人だもの
有名人のサインに惚れ惚れしてしまうの、わかる~となった。壁がサインで敷き詰められたラーメン屋さんなどに行くと、延々ときょろきょろして、それが誰のものであるのか、解読しようとしてしまう。

P.150 一夜漬けの本気
これも共感しまくったのだけれど、なぜ女子はある一定の年齢になると丸文字に憧れ始めるのか。
小学校低学年の頃は書道を習っていたので、割と綺麗な文字が書けたのだけど、5年生くらいになると角の取れた丸い文字を書くことに傾倒し、おかげで自分の文字が著しく退化してしまったというのがあった。
中学2,3年でようやく大人っぽい文字に憧れるようになったのだけど、これが元のようになかなか書けない。文字だけで頭が良く見られたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月1日
読了日 : 2023年10月1日
本棚登録日 : 2023年10月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする