生の短さについて 他2篇 (岩波文庫) (岩波文庫 青 607-1)

  • 岩波書店 (2010年3月17日発売)
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全体的に冗長な文章に思えたが、この本を理解するには私の想像力が乏しいのかもしれない。

理由はわからないが私は高校生の頃から"時間は有限である"という概念に囚われて続けており、これまで何かと忙しない人生を送ってきた。
そうして過ごした時間の中には当然浪費も含まれていたであろう。

ここ数年で自分自身と向き合う時間が増えたことで、時間を浪費するとはどういうことなのか、体感的に理解できるようになった気がしている。
モラトリアム期間である学生時代にこのことに気づけたのは幸甚の至りである。

人生100年時代とはいえ、明日どうなるかはわからない。
見えない未来を恐れて忙しく生きる必要は無いけれど、忙しく生きるのであれば自分の心に正直になることは心に留めておきたい。

✏ひとはだれしも、未来への希望と、現在への嫌悪につき動かされながら、自分の人生を生き急ぐのだ。 しかし、すべての時間を自分のためだけに使う人、毎日を人生最後の日のように生きる人は、明日を待ち望むことも、明日を恐れることもない。というのも、[未来の]ひとときが、彼にどんな新しい楽しみを与えうるというのか。彼は、すべてを知りつくし、すべてを十分に味わっているのだ。

✏ところが、先延ばしは、人生の最大の損失なのだ。先延ばしは、次から次に、日々を奪い去っていく。それは、未来を担保にして、今このときを奪い取るのだ。

✏生きるうえでの最大の障害は期待である。期待は明日にすがりつき、今日を滅ぼすからだ。あなたは、運命の手の中にあるものを計画し、自分の手の中にあるものを取り逃がしてしまう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月14日
読了日 : 2022年7月14日
本棚登録日 : 2022年7月14日

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