岡っ引きの夫を亡くし、後家としてお針子を生業とするため吉原に入ったおとせ。
おとせから見た吉原の世界が描かれます。松井今朝子さん作の吉原本に続いて宇江佐さんの作品を読みました。
当時の独特の文化であり秩序を持つ吉原の世界はとても興味があります。
花魁のみならず、彼女たちを支える周辺の仕事に携わる人々や階級が作中記され、悲哀も喜びも、欲も恥も混在するのは今も昔も変わらない気がします。
主人公のおとせのパーソナリティですが今ひとつきっちり掴めず終わりました。気後れしがちで自信なげな割にはお節介で他人事に入り込んでいくようで、「人情もの」に傾倒しすぎた印象を持ちました。
おとせが太鼓持ちの凧助に心惹かれる様も若干強引な展開かな。
松井さんの作品に軍配です、個人的に。
東京は今隙間があればどんどんマンションが建てられ高騰していますが、土地の成り立ちがわかるので時代小説をそういう観点から読むと別の面白さがある気がします。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月3日
- 読了日 : 2023年5月3日
- 本棚登録日 : 2023年5月2日
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