I am Sam : アイ・アム・サム [DVD]

監督 : ジェシー・ネルソン 
出演 : ショーン・ペン  ミシェル・ファイファー  ダコタ・ファニング  ダイアン・ウィースト  リチャード・シフ  ローラ・ダーン  ジョン・パウエル 
  • 松竹
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知的障害(7歳程度の知能)を持つ父親がシンブルファザーとして1人の子どもを慈しむ。
子どもが彼と同等の7歳を超えたとき、彼に自分の子どもを養育し続けることが可能なのか。

仕立てとしては少しばかり強引な展開ではあるが、通常の生活にも困難を極める1人の父親が子どもを大切に想う一点でストーリーが展開する。

2001年米国映画。主演は若きショーン・ペン。健気で「よく出来た」7歳娘ルーシーをダコタ・ファニングが演じる。

拙い言葉を一言一言紡ぐ父親サムと父親を流暢に諭すような口調の子役の掛け合いが面白い。
ショーン・ペンの圧倒的な演技にも全く動じない子役は安達祐実ちゃんや芦田愛菜ちゃんを彷彿とさせる。

障害があっても愛情がどうのというベタな感動ポルノ作品で終わらないのは、登場人物たちの丁々発止の言葉のやり取りの面白さ。

テキストは理解できても、抽象度が上がりコンテクストとなると混乱してしまい、オウム返しの会話が続いた果てに、双方落としどころを見つけたり、誤解のままクスッと笑わせたり、障害を決して悲惨な「可哀想な状態」にとどめていないところかな。

出来た娘と、子どものままの父親という構図、今でいう「若年介護」や親子逆転になってしまうという無粋な現実は置いておいて。言葉のキャッチボールを愉しめる作品。

中盤から登場する裁判で養育権を取り戻すため依頼した弁護士リタ役ミシェル・ファイファーが良かったな。
アメリカの成功した負けなしの弁護士でありながら、妻として母として、人間としての自分に自信を失うあまり、憤る様。汚い言葉満載笑。

ビートルズの名曲がモチーフとして使用され、アメリカのお馴染みのストアやレストラン、そして私の大好きな『クレイマークレイマー』も展開のなかで上手に組み込まれている。

携帯電話ノキアの呼び出し音や、うちの子どもたちが履いていたピカピカ光るサンダルも懐かしい(フットロッカーで売っていたやつ)。

親であること、子を慈しむこと。
愛情、知能、経済力という養育のバロメーターは必ずしも数値化できないから難しいな。

その前に親が1人の人間として自尊心を持つことが実は大切かもしれない。自分が自分であることは肝心かなめなのだな。

いくつかの賞を受賞したというショーン・ペンの演技。鬼才。彼のイデオロギーの反捕鯨関係がこの時期もちらりと笑。彼が内に抱えるエネルギーの凄さが演技に現れた作品だと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年11月8日
読了日 : 2022年11月7日
本棚登録日 : 2022年11月7日

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