S図書館 2012年
講談社ノベルズ
《あとがきより》
400枚くらいのコンパクトな長編本格というのが構想段階でのイメージ
「暗黒館の殺人」 的なゴシック趣味・怪奇幻想趣味はなるべく控えめにして、シリーズ初期の 「迷路館の殺人」のようなある意味遊びに徹した軽やかなパズラーをこの辺で一つ、というイメージがあった
プロット作りに3ヶ月、執筆に1年3ヶ月、800枚超
内容的には当初のイメージに近い形に仕上げられたのではないか
《内容》
鹿谷門実は、顔立ちがそっくりの日向京助に、代理としてある会合に金銭目的で参加してほしいと依頼された
奇面館の影山逸史に招待された6名
部屋から出る際は鍵がかかる仮面をかぶる決まりだ
翌日目を覚ますと全員 仮面をかぶって外せない状態になっていた
さらに殺人がおきていた…
《感想》
皆さんの感想を見たら怪奇系でないことがわかり読むことにした
ページ数を気にせず、すらすら読め、解説や謎解きが鬱陶しくなく流れがいい
プロローグのアナグラムも、しゃれがきいていてよかった
癖がない探偵役の鹿谷門実の描き方が常々いいと思っていた
ひとえに綾辻氏の力量だ
鹿谷は難解な推理が解けてすごいでしょという鼻についた所がなく、推理おたくで、解かざるを得ない気質を持っている
それがいい
シャーロックホームズやコナン君に負けず劣らずのおたく気質はとてもいい
折角読もうと決めたからには犯人捜しをしたく、消去法で探っていった
まず本人かどうかの確認
真っ先に疑わねばならないのは鹿谷門実
人形館のように、実は会ってないとか名前だけ登場ではないかと疑った
これは折り紙で解決、本人だ
(シリーズにちょこちょこ登場していた折り紙を、ここで使うとはセンスがいい)
次に鹿谷に依頼した日向はどうか?
会合に登場しておらず、話通り入院していた、本人だ
次に殺されたのは影山本人なのかどうか?
仮面を外して本人だった
あとは3回も来ている人を疑うが、手がかりなしで犯人捜しはここまでだった
名前がキーポイントだったとは恐れいった
次回作品の連載は始まったそうだ
「完結して本にまとまるのを待つ方はスルーしてください。
シリーズを遡って復習しなければさっぱりわからん!という書き方はしないつもりですのでご心配なく。○○館のネタに触れざるを得ないところもあるので、これはご了承ください」
20230725綾辻行人Twitterより
- 感想投稿日 : 2023年7月27日
- 読了日 : 2023年7月27日
- 本棚登録日 : 2023年7月24日
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