読む手が止まらない。
毎度引き込まれて一気読みしてしまう!
とことん推理小説に拘る著者が、今回はどんなミステリーを描くのかが楽しみでたまらない。
ゴシック・ホラーか本格ミステリーか…。
どちらとも判断がつかないまぜこぜ感がほんと好き♡
既読の「誰のための綾織」にも出てきた人物が出てくる。
出版はこちらの方が先だ。
美術館開館日の前日、画家の館に泊まり込みのパーティに招待される。
次の朝、廊下には何かを引き摺ったような跡が。
その跡は、血だった。
たどって行くと、美術館の展示室。
ドアを開けると、死体の山が展示されていた……。
どの人物も怪しく、動機もあり、キャラも濃い…。
胸糞男と胸糞女の応酬。
そこがまたいい。
必ず、どこか影のある少女がひとりは出てくる。
拘りかな。
聖書の引用で、イエスが捕まった時のエピソードを初めて知った。
「ユダヤの習慣では(過越の祭)の際、囚人を1人許す。この時は、イエスの他にバラバという男が捕まっていた。バラバは反逆と殺人を犯した極悪人。ローマ総督ピラトは群集に問う。「どちらを許すか。バラバかキリストか」すると、民衆は口々に答えた。「バラバを赦せ。バラバの方を」と……。そしてイエスは十字架に磔にされた」(本文より)
飛鳥部作品の特徴に、序盤に犯人は誰かの匂わせエピソードがある。
そこを注意して読み進め、ここぞという箇所に付箋を貼る。
そして、的中する。
最初こそ見落としがちだが、重要な伏線。
だが、そこを読んでいる時の情報では証拠が少なく、到底犯人だとは証明できない。
聖書の引用と美術作品と歴史と…。
精神が壊れてゆく様子を描く描写もたまらない。
それでいてミステリーであるという所がとても良い。
突然くるウケ狙いなのか本気なのか…映画のような格闘シーンも笑った。
クセになる読みごごち。
次は「N・Aの扉」を読む!
- 感想投稿日 : 2023年10月26日
- 読了日 : 2023年10月26日
- 本棚登録日 : 2023年10月26日
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