『・・・そういう私だけの思い出を私がなくしてしまったら、それはなかったことになっちゃうんじゃないかって思って、怖かった。これらをなくしたら、私は空っぽになっちゃうって思った。<br>
でも、十七歳の私は充分に、もう充分に、空っぽだった。<br>
だから私は、子供のふりしてそこにいた。<br>
良い子のふりして、そこにいた。<br>
それは悪いことじゃない。<br>
悪いことだったとしても、それは私のせいじゃない。<br>
多分。<br>
でもだとしたら、一体誰のせいなんだろう?』<br>
<br>
良い子な自分が好きだ。家族にも親戚にも先生にも近所の人にも友達にも、私は良い子で真面目な子だって思われてきた自信がある。思われてきただけじゃなく、実際良い子として生きてきた。でも、時々不安になる。<br>
自分がしてきたことを誰かのせいにするのは嫌だけど、やっぱりたくさんの誰かの期待を感じて良い子として生きるようになったような気がする。なのに、良い子過ぎることを、真面目すぎることを、心配されたり、非難されるとどうすればいいかわからなくなる。あなた達がそうしろって、良い子になれって、きちんとしろって。そうじゃなきゃ私なんかに価値はないって。今更辞めて欲しい。<br>
歳相応とか羽目をはずすとか自由にのびのびとか、私は怖くて怖くてあの時代に捨ててきたんだから。
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- 感想投稿日 : 2007年7月5日
- 本棚登録日 : 2007年7月5日
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