歴史の陰に植物あり。それは時に歴史すらも動かすという、植物視点からみた歴史が新しい。実に面白い。
農業は貧しい土地、豊かな土地どちらで発達するかと言えば前者です。古来東日本は豊かで狩猟採集のみで生きていくことができました。一方で西日本では農業という重労働を行わないと人口を養えませんでした。
しかし、農業は青銅器や鉄器他様々な技術をもたらせます。西日本で起こった大和朝廷が日本を制するに至るのは稲作の普及によることが大きいというのは合点がいくところでした。そして、協調性があり内向的な国民性にまで影響を及ぼしていることになるほどとも。
また肉を長いこと保存するために、胡椒を求めて大航海時代が始まったことは有名です。その過程のなかで、トマトやジャガイモ、唐辛子が流布していくのも興味深いもの。今やメジャーなこれらの食べ物が最初は人々から受け付けられなかったのは意外でした。ジャガイモなんか魔女裁判にかけられ「火あぶり」の刑に処されたそうです。きっとおいしそうな匂いがそこかしこから漂ったことでしょう(笑)
戦国時代、大豆から作られた味噌が戦陣食として欠かせないものであったり、江戸時代に綿が広まることで風邪でなくなる人が減ったことは、司馬遼太郎の小説にも登場してました。
また、綿は産業革命の起爆剤とも言えます。
世界初のバブルはオランダのチューリップであったとか、南北戦争は綿の自由貿易を巡る争いであったなどの史実が面白い。結構な割合で歴史を動かすのに一役かってます。
世界で一番生産されているのはトウモロコシ。同五番の大豆は家畜用の飼料としての用途が大半。そこからできた肉類を食べてのだから私たちの身体の半分はトウロコシからできていると言われるのも過言でないのは驚きです。
このような植物と人間との壮大な歴史は初めて知ることばかり。とても魅力的な内容に⭐5でした( ≧∀≦)ノ
- 感想投稿日 : 2023年1月3日
- 読了日 : 2023年1月3日
- 本棚登録日 : 2023年1月3日
みんなの感想をみる