遠野物語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2016年5月28日発売)
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感想 : 16
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言わずと知れた日本民俗学の開拓者である柳田国男さんの、遠野地方に伝わる伝承をまとめたもの。
明治42年より収集し始め、翌年に『遠野物語』として出版されているようだが、119のごく短い物語とは言え、当時の言葉で書かれているので、なかなか理解するのにはてこずる。
しかし当時の文化や生活感が感じられ、親しみを覚えた。

『遠野物語』には山の神、里の神、家の神、山人、山女、雪女、河童、猿・犬の妖怪などについての怪異な話が豊富で、勿論現実のものとは思えないが、どこどこの誰某が経験したと言う具体性もあり、興味をひく。

経験談や親から聞いたと言うのであれば、江戸末期から明治初期にかけてのことだと思うが、その時代背景はどうだったんだろう。
江戸(東京)から離れ、アイヌの文化も残っていただろうし、冬は寒く食べ物にも困る環境で、仲間意識の醸成が大切で、はみ出ることをした時の戒めも、このような伝承に残っているのかもしれない。

今では時代も移り違う風景になっているとは思うが、懐かしみを感じるし、是非訪れたい気持ちにさせてくれた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月5日
読了日 : 2023年4月4日
本棚登録日 : 2023年4月3日

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