読了時間約3時間40分。
『動物園にできること』とともに、多くの動物園・水族館関係者に読んで欲しい本。
動物園はどうあるべきか、動物園に何ができるか、日本とは違う米国動物園ならではの取り組みや悩み(展示チームと飼育チームの緊張感など)、動物園で教育活動ができているのか、教育活動が出来ていたとして人々の行動を変えているか野生生物保全の力になっているのか、といったことなどについて書かれている。
特に印象に残ったところとしては、
都市生活者に対し、自然に触れる体験を提供すべきであること。
展示デベロッパーは展示意図として、なぜこの動物種をこの動物園で飼育するのか、そのメッセージは何かを定義し、一貫性にあるものにしなければならない。しかし、日本では展示設計に関わった人でも、これを説明できる人は少ないこと。
日本では、動物を飼育して見せる環境を作って終わり、展示完成と思われていることも多い。しかし、野生生物をわざわざ遠く離れた地で飼育し、個体の福祉の犠牲を伴う可能性があり、数多くの種が絶滅の危機に瀕していることなどから、ただたんに野生動物を飼育展示するだけというのは、もはや正当化できるものではないこと。
展示の意図がどれだけ伝わっているか評価が大切であること。
習慣化した行動を変えることは難しく、知識として理解していても行動にできるかは不明であり、ならば行動を変えるために動物園水族館はどんなことができるのか、などの話である。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月9日
- 読了日 : 2023年3月9日
- 本棚登録日 : 2023年3月3日
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