手に取ったきっかけは、タイトル。
思い煩っていた。
側から見ればチグハグなようで、けれど視点によっては筋が通っていて、避けたと思えば近づいていて、自分には見えず、他人には丸見え。登場人物みな、砂地で足をとられたように生きているようでした。そしてそれは、本の「外側」の自分も。周りも、誰しも。自覚があっても、そうでなくても。時に素直で、時に裏腹で。
初めて読んだ作品であるが、おそらく、人生の経過によって人物への印象が大きく変化するのだろう。大抵の物語がそうであるかもしれないが、行動の裏にある思惑や動機が見えるようになっているかで深さが変わる面白さ。表面でさらりと読み流してしまえばそれで済ませることもできる、興味深さ。登場人物の誰に心を動かされるかも、人によって違うんだろうなと想像する。これがもうひとつ楽しみになる。
自分なりに味わって愉しんだあとはいつも、作家って…なんていうか…すごいなぁ…と思わずにはいられません。最終的には、途端にシンプルすぎる表現しかなくなってしまいます。ジャズを流しながら、余韻にひたろうと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年7月9日
- 読了日 : 2022年7月9日
- 本棚登録日 : 2022年7月9日
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