「一冊の本を読むことは、一人の人生の物語を知ることだ」 どなたの言葉であったか思い出せませんが、本を自分の人生の一部として、大切に扱った方の言葉だと思います。
本が財産であった時代から、古くなった本を修復し、本に長い命を与える職業がルリユール。いせひでこさんの絵本「ルリユールおじさん」でも、大切な本を修理する老人と少女の素敵な姿が描かれていました。
本書はファンタジーの素材として、ルリユールを選んでいます。不思議な洋館に住む魔女(?)クラウディアの元へは、大切な本の修繕を願う人しかたどり着けない。そんなクラウディアの下でルリユールの仕事を教わることになった瑠璃。「どんな本を誰のために作るのか?」が問いでした。
クラウディアの元を訪ねる人たちの、一冊の本への想いや物語と並行して、瑠璃の心に留まる想いも本の形になっていきます。どんな本になっていくのか。
本を作る、という作業そのものを調べてみたくなりました。自分で本の装丁ができたら楽しいでしょうね。
一つ読み込めず、気になるのは太朗さんと次郎さん。「みつみねのやまいぬのすえ」。不思議な縁で、丁度三峰神社にまつわる本「オオカミの護符」を読んだばかりでした。こんな本の偶然のつながりもおもしろい!
海に面した石畳の街並みを歩く瑠璃は「魔女の宅急便」を、洋館の不思議な図書室では「アラジンと魔法のランプ」のイメージが浮かんでしまいました。
本棚にもあります
「ルリユールおじさん」 いせひでこ
「オオカミの護符」 小倉美恵子
- 感想投稿日 : 2013年11月10日
- 読了日 : 2013年11月10日
- 本棚登録日 : 2013年10月19日
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