スピノザの診察室

著者 :
  • 水鈴社 (2023年10月27日発売)
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感想 : 446
5

ブクログでの高評価で気になり手にした一冊


いい!!
なにがいいって
登場人物がいい!!


まずは主人公のマチ先生
一見やる気がなさそうに見えて
実はやり手。
だったら冷静な先生なのかと言ったら
甘いものに目がない、なんともチャーミングな一面もあって
もうすぐに好きになってしまいます


また周りを固めているキャラクターもいいんです

豪快で懐の深い院長の鍋島に、
鋭い指摘が俊逸の中将先生、
秋鹿先生の優しい空気感も好きだし、
花垣先生とのやりとりは
ニヤニヤしながら読んでしまいました(^^)

人を描くのが上手いんですかね、
ちょろっと出てくる看護師や
後輩の医者までまで好きになってしまいます。

仕事ができる人の話って
読んでいて楽しいです!


龍之介くんや南先生のその後も気になるし
すでに続編を読みたくなっています(^^)
先生たちに会いたいです!!


また医療について、
いや生きることについて考えさせられました
マチ先生がそのことについて
ずっと考えていたからでしょう
医療には正解がなく
一緒にじっくり考える時間をもらいました。


医療は進歩し続けている
でも『病気が治ることが幸福だという考え方では、
どうしても行き詰まることがある。
つまり病気が治らない人は
みんな不幸なままなのかとね。』

『たとえ病が治らなくても、
仮に残された時間が短くても、
人は幸せに過ごすことができる』

『医療がどれほど進歩しても、
人間が強くなるわけじゃない。
技術には、人の哀しみを克服する力はない。
勇気や安心を、
薬局で処方できるようになるわけでもない。
そんなものを夢見ている間に、
手元にあったはずの幸せは
あっというまに世界に呑まれて
消えていってしまう。
私たちにできることは、
もっと別のことなんだ。
うまくは言えないけれど、
きっとそれは・・・・・・』

『暗隔で凍える隣人に、
外套をかけてあげることなんだよ』

医療に携わっている作家さんだからこそ
現場を見て、いろいろ感じるんだろうと思いました


実際できることはわずかで。
でもだからといって諦める訳じゃなくて
できることをやる
それを教えてくれる一冊でした


あーマチ先生、近くにいないかな

秋鹿先生の言葉を借りると
話をしていると心が落ち着く先生。
読んでいても安心して読めました
マチ先生に見てもらっていれば
大丈夫という気になります

さらっと出てくる言葉も絶妙で
末期癌の患者へ向けた
「がんばらなくても良いのです
ただ、あまり急いでもいけません」
というセリフはとてもよかったです

私も病気をしたらマチ先生に診てもらいたいな


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月18日
読了日 : 2024年1月18日
本棚登録日 : 2024年1月18日

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