山に抱かれた家 (小学館文庫 は 3-5)

  • 小学館 (2024年3月6日発売)
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本棚登録 : 286
感想 : 15
5

あまり一気読みするほど熱中できる本ってないけど、このシリーズは本当に自分の心を躍らせてくれて、気づいたら読み終わってしまう。

今回から舞台は山になったけど、自分のワクワクする道で逆境を楽しみ、跳ね除けていく史哉のたくましさが羨ましい。

今作で1番印象的だったのが、史哉が元恋人の美晴や知人の都倉と電話で話をするシーン。

頑張ったって認めてもらえない
悪いのは自分じゃなくていつもまわり
やりがいのない世界に嫌気がさしている

都会に暮らし、そう言う美晴に対して、田舎に暮らし、全てが自分次第の世界で生きている史哉

自分がやりたいことで暮らしていけば、お金でも替えられないものが手に入るかもしれない。
都会の便利さや快適さは、お金を払って買えるわけで、それを手に入れるためには、お金のために稼がなくてはならない。

人や環境のせいにして自分の不幸を嘆く美晴と、自分次第の世界に飛び込み、開き直って自分の生きる道を見つけた史哉の対比が見えた。

都会でしか得られないものもあるし、田舎でしか得られないものもある。
自分が何を大切に生きていきたいのか?お金?家族?恋人?ワクワク?
を問われている気がした。

どこで生きるか?も大事。
でも、そこで自分の人生を楽しいものにするか?つまらないものにするか?は自分次第。

人や環境は変えられないけど、変えられるものに目を向けて嫌なことや苦しいことの中にも楽しさを見出していける人は強いなと思う。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月24日
読了日 : 2024年4月24日
本棚登録日 : 2024年4月24日

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