BANANA FISH (11) (小学館文庫 よA 21)

著者 :
  • 小学館 (1997年5月16日発売)
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感想 : 55
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【アニメ視聴・Another Story鑑賞前】
アッシュの最期が衝撃的で、見終わってから放心状態。しんどくて体が重たくなって何もやる気が起きず、、、
アッシュと英二が最後に会うことができなかった納得できる理由を考えることに必死になってしまいました。


本人も何度か口にしていたけれど、アッシュが幸せに生きるには人を殺しすぎてしまった、、、だから幸せに生きていく【〜完〜】では虫が良すぎる物語になってしまう。個人的にそうなってほしいと心から思うけど、誰もが望むその結末をアッシュが手に入れるのはやはり難しい、、、悲しいけど、物語の結末は変わらない、これが現実なんだ。

それに、彼らが逢えなかったのは相手を想う”愛”ゆえでもある。アッシュは「英二をこっち側の世界に二度と来させない」ために会うことをためらった。最後には英二の手紙で「会いたい」という衝動に突き動かされていたけれど(泣)ユエルンは「2人でいる時こそ気を許しているから弱点」と言っていたけれど、まさにその瞬間にラオに遭遇してしまったわけだ。


ラオのことも考える。
シンを想って、シンを守るためにアッシュを殺した。ラオにとってのシンは、アッシュにとっての英二みたいに守りたい存在だったかもしれない。ラオの気持ちもあるからこそ、辛いよ。

それに、関係してるのはラオだけじゃない。
もしシンがアッシュに挑んでいなかったら、、、
ユエルンがチャイニーズの部下たちにアッシュと英二を殺せと言わなければ、、
とか遡って〇〇がなければとか考えるけれど、それも無理な話で、アッシュの死は積み重なった状況に導かれた宿命なんだ。

アッシュと英二は会えなかった、でも、英二はたしかにアッシュの最期に手を添えて立ち会うことができたと思ってる。彼らの心は、いつもそばにある。だからこそ、アッシュはあんな穏やかな顔で最期を迎えることができたんだ。

あぁ、なんて美しい愛の物語。
久しぶりに大切な作品に出会えてよかった。



最後にアッシュの好きな台詞を書き留めておきます。

「俺は今幸福なんだ。この世に少なくともただ一人だけは何の見返りもなく俺を気にかけてくれる人間がいるんだ。もうこれ以上ないくらい俺は幸福でたまらないんだ」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月8日
読了日 : 2021年11月22日
本棚登録日 : 2021年10月7日

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