単身の高齢者が主人公の小説は、随分前に読んだ柚木麻子さんの『マジカルグランマ』以来かもしれない。お金にまつわる小説を多く執筆してきた原田ひ香さんならではの高齢者の現実味に溢れたお財布事情とともに話は進んでいく。結局は皆、本人の心の持ちようでいくらでも状況は好転できるのだと感じた。主人公の桐子は側から見れば、可哀想とか大変だなという境遇にあるのかもしれないが、先への不安は感じながらも意外と淡々と周りの人と付き合う能力に長けていると思った。また真面目に目の前の仕事をこなしている姿にもとても好感を持った。年齢や職業、立場を問わず、平等に接することのできる桐子にはそれなりの状況が結果としてついてきている気がした。大切なことを改めて教えられた小説。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月15日
- 読了日 : 2022年9月15日
- 本棚登録日 : 2022年9月15日
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