コレクションと資本主義 「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる (角川新書)

  • KADOKAWA (2017年9月8日発売)
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感想 : 4
5

借りたもの。
経済の流れを見れば世界史が分かり、それらをアートは描き出している。アートの価値はそこにある。

私は美術史を学んだ身だが、政変と美術の流れはあまり密接に感じていなかった。それがこの本を読んで経済という流れによって繋がっていく…!

ウェストファリア条約によって、近代国家の基礎が作られる…
富の蒐集からビジネス――資本主義による利益、利子の増殖――という概念への変化が、アートにも影響、反映されていることを読み解いてゆく。
閉じた世界と開けた世界、陸と海という対立構造は、
蒐集が価値を生み、信用が価値を増速させるという視点から、アートの価値が紙幣経済の変化系となる様を映し出す。
蒐集の象徴であったアートが、投資・投機対象になる。
ダブついたお金の使い道、使いどころとしての“ビジネスモデル”となっていく様が映し出される。
正にアートは“今”を映していた。
徳光健治『教養としてのアート、投資としてのアート』( https://booklog.jp/item/1/429540294X )とも併読。
映画『アートのお値段』( http://artonedan.com/ )の根底にあるもの。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2019年12月12日
読了日 : 2019年12月12日
本棚登録日 : 2019年9月19日

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