このお話を語っているの、登場人物の誰でもないけど、誰?
…なんて、それは言わないお約束…のハズなのに、その「語り手」にスポットを当てたなんとも風変わりな小説です。
そしてこの小説『語り手の事情』の「語り手」が語るお話はと言うと、かなり性的、でも淡々とその歴史や背景について語られていて、神聖な儀式のように思えてくる…という、これまた風変わりな物語。
酒見賢一さんの小説はどれもちょっと風変わり。
自分にとって、定期的にその小説を読み返したくなる作家さんの1人です。
『語り手の事情』はちょっぴり難しい言葉や思想が並んでいて、でもそれも「語り手」の世界に引きずりこむための作戦なんだろうなあ、と思う。
ストーリーを楽しむ、というタイプの小説では無いので、酒見賢一さんを初めて読むならおススメしない(デビュー作『後宮小説』がやっぱりおススメかな)けれど、酒見さん世界をすでに味わっていて、その風変わりさがちょっとクセになってきた…なんていう方に。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
【日本の小説】作者さ、た行
- 感想投稿日 : 2013年4月26日
- 読了日 : 2013年4月22日
- 本棚登録日 : 2013年4月9日
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