132ページ、「うつの本質が心の病気」。他のページにも似たようなことが書いてある。いつの時代の認識だ。いわゆる従来型うつ病は「脳の病気」ということが今の定説。薬物療法も通電療法もその認識がベースにある。
で同ページで、「心のあり方を変えないかぎり、うつ病になる可能性もあり、うつ病が治らない可能性もあるのです」。認知行動療法というのも効果があるとされるが、脳の損傷を避けるストレスコントロールの方がはるかに重要。うつ予防には「心のあり方」ではなく長時間残業の抑制が推奨されている。また、<病気がよくなるから心のあり方も変わってくる>という逆の因果関係もありはしないか。
そして「宗教が必要」に至っては、何がなにやら。医学の本で科学的な根拠で書かれていると思った自分が悪かった。
宗教を信じることがうつに効果がある可能性は否定はしないが、もしそれがカルト宗教でマインドコントロールの手法を取り入れているところだとしたら、恐らくうつ病には悪影響しかないだろう。まともな宗教とはどんなもので信教のどこがうつに効くのかもっとよく説明すべきだ。
さすがに神の力でうつを治す、とまでは書いてないので☆は二つにしておいた。トンデモ本としては面白くない。けっきょく役に立たない本。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
トンデモ本
- 感想投稿日 : 2010年9月19日
- 読了日 : 2010年5月22日
- 本棚登録日 : 2010年5月22日
みんなの感想をみる