ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2018年2月25日発売)
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本棚登録 : 700
感想 : 89
3

とにかく読者を惑わす文章が凄いです
勉強になった部分
・紀伊国⇒ 和歌山県と三重県南西部に属する。
・がこぜ⇒飛鳥時代、奈良の元興寺に現れた妖怪
というか鬼の名前
・がんこうじ⇒がこぜ⇒がんこ
出没場所が訛りに訛ってそのまま鬼の名前に……
・エゴで囲われた檻
・幽霊は家からはいるのではなく心の隙間から入ってくる
・離婚した女の顔をのっぺらぼうと表現
⇒相手への思いが薄い、または傷がいえたことを表したのか
そのこころは「欠乏」
大事な部分をそのこころはと掛けている

「オカルトの歴史は、勘違いの歴史だ」
・ぼぎわん⇒ヨーロッパから来た、ブギーマン(子取り鬼)伝承の名残
・三重県は組紐が昔から魔除に使われていた
清明桔梗⇒三重の志摩の海人さんは同じ紋をドーマンセーマン(トモカヅキ)とよんで魔除に
トモカヅキ→目撃者そっくりの姿をしている
海の底にひきずりこみ殺してしまう

・ドッペルゲンガーの怖さとは
なぜ自分そっくりのものは恐ろしいのか
自分の醜さを目の当たりにするから
・志摩の海人さんが何を恐れていたのか⇒ぼぎわん
魔道符→悪いものを呼び込む道具
・民間信仰は関西の江戸時代くらいまで普及
ありがたい御札やお守りをアレンジ=ご利益が裏返る
・ファブリーズ魔よけになるまたタバコも

個人的に鍵になりそうなところをまとめました
・主人公の母澄子の家庭
志津は旦那を恨み魔道符をつくり旦那を呪った
→ぼぎわんを連れてきたのは志津である

・中世のヨーロッパでの吸血鬼伝承では
招待されていないと人の家に入ることが出来ない
・伝承や風習は忘れられる。
残ったものは次第に意味や由来は失われ形だけが残る。exネクタイ:今は礼節や社交ではあるが元は口を拭くナプキンとして使われていた
→実用的な根拠や用途があった

・「誰も入らない、草木の生い茂る山。名前はこたから」→こだから山なり

・子宝温泉の名称の理由は近隣の山の麓にある石碑に「こだから」という文字が記載されていたから
→少なくとも江戸時代末期から作られている
・決して豊かな農村ではなかった食料が足りない
→口減らしex:長野県、姥捨山伝説
k地区ではぼきわんに老人や子供を与えていたのでは?
親は子供を思い罪悪感に駆られた
→化け物によってたくさん増えた山「こだから山」
ぼぎわんには名前を付けなかった
・舌も手も飾り。力を持っているのは口だけ
・千紗がぼぎわんになりかけている

結論と仮説
・人間から奪って子供を作る
→ぼぎわん自体も人間だったのか。子供だったのか。口減らしで村からさわられた子供のなりはてか。
人減らしではなく口減らしってとこがいい。
また、口減らしをしたせいで口だけが残るこの因果おもしろい
「解釈は新たに物事を関連付け、仮説を組み立てる」
→組紐
無意識の時知紗は人を今でも呼んでいる……
⇒幸福そうに眠っていた
ここまで長々と要点だけまとめましたが特に筆者のすごい所は、
視点を変えたあと誰の視点なのかを考えさせるのが上手いところです

解説
・物語の骨格は古典的である⇒話しかけてはいけないなど
・得体の知れない単語で恐怖や不安を煽る
・視点の見方が違うため落差に衝撃を与える
・古来の伝承と現代的かつ普遍的な問題が解決へと導く

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月15日
読了日 : 2023年10月18日
本棚登録日 : 2023年8月13日

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コメント 2件

ナカジマさんのコメント
2023/11/15

得体のしれないモノを一つ一つ言葉で解体していく感じが良いですね。
オカルトの知識をちりばめながら怪異の実像に迫っていく構図に惹かれます。
ホラーは苦手ですがちょっと読んでみたくなりました。

りんさんのコメント
2023/11/15

コメントありがとうございます!
物語の構成が完璧すぎます
ミスリードや都市伝説並に話を暈すのが上手いため勝手に妄想して怖くなる展開が多いですw

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