ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2019年7月12日発売)
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非行に走ってしまう人たちがなぜそのような行為に及んでしまったのかという事を精神科医の目線から書いている本。
非行に走る人のイメージは、根っからの悪人などどうしようもなく手をつけられない人間であると言う物であった。しかしこの本を読んだときにそのイメージはひっくり返された。そもそも、「悪いことをやってやろう」・「傷つけてやろう」という心理の元ではなく悪いことをしているという認識が薄く、自分への評価が低くなってしまうという所に問題があるという。そして、その問題を解決するためには「褒める」・「話を聞く」というものではなく、自分が社会に存在しているという事実を認めさせ、自己評価を上げていくという事が必要であり、トレーニングを重ねていけば構成していくことが多いのである。
この本を読んだとき、アドラー心理学の『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』の事を思い出した。アドラーは社会に存在するということが人間の営みとして重要なのだと説いている。最近ではSNS等の繋がりで社会のあり方も変化しているが、改めて考えさせられる本に出会えたと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2022年5月27日
読了日 : 2022年5月27日
本棚登録日 : 2020年10月24日

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