地下鉄に乗って (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年12月1日発売)
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本棚登録 : 5979
感想 : 720
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確執のある父と息子、兄の死、バラバラになった家族。。どの時代にもそこには地下鉄が走っていて、時空を超えて父や母の過去や兄の死に至る背景や謎が次々明かされ驚きや意外性で物語に引き込まれます。
特に父の人生は壮絶。日本が辿ってきた歴史に触れるにつけ、戦争や敗戦を体験した人の苦悩や無念、悲しみと言ったものに胸が締めつけられる。
みちこが語る戦前の銀座線の様子や、鮮やかで華やかな銀座の街の情景の中でのみちこの生き生きとした姿が印象的。だからこその彼女の顛末は衝撃的で悲しさが際立っている。
兄の死を止める事はできなかったし、父と息子の関係はその後どうなっただろうなど、やや心残り。
同様な設定の映画バック・トゥ・ザ・フューチャー的なハッピーエンドではなく、物悲しい読後感。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月27日
読了日 : 2022年11月27日
本棚登録日 : 2022年11月25日

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